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いしが城谷クリニック通信~診察室2から~

2012年4月、大阪府茨木市に新しく開院した「いしが城谷クリニック」。 気管支喘息を専門とするドクターTOMOの日常診療やクリニックの歩みをご紹介します。 気軽にお立ち寄りください。 クリニックHPは、http://www.ishiga-iin.com/ です。

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高額新薬の登場 

医療における技術革新が医療財政を圧迫させる恐れがあり、何らかの方策が必要と考えられていましたが、それを加速させるような問題が起こっています。
癌治療に従来の薬剤とは一線を画した治療効果をもたらす免疫療法薬が2014年に保険収載されました。日本の小野薬品が開発した薬剤で、オプジーボという薬剤です。当初の保険適応は、皮膚癌の一種である悪性黒色腫のみでした。悪性黒色腫は比較的稀な疾患で、この癌に用いられることを念頭に薬価が制定されたのです。悪性黒色腫に用いた場合、1日薬価が4万1907円、治療患者数がピークでも年間470人程度であり年総額で31億円の医療費が生じると試算されての結果です。
しかし2015年に肺癌に適応拡大されてから、状況が大きく変わりました。肺癌に使用する場合の必要投与量は黒色腫に投与する場合より多く必要であり、1日の薬価が9万5046円かかるのです。ピーク患者数も1年で5万人と考えられ、1年総額で1兆7500億円もの医療費がかかるとの試算がなされました。肺癌であれば組織型、病期、年齢を問わずに投与できることもあり、この試算が現実味を帯びてきたのは事実です。
肺癌診療を専門とする現場の医師からも、この薬剤の使用に関して、現薬価のまま無制限に保険を用いての投与を続けることが医療保険の崩壊を招くとの意見が出され、何らかの改革が必要と警鐘を鳴らしました。

日本の医療は近年、根拠に基づいた医療(evidence based medicine=EBM)の実践が最良の医療であると考えられてきました。つまり、EBMの実践が唯一無二の目的であり、医療費に言及することは非倫理的であると考えられてきました。しかし、このような現状を踏まえ、今後の医療のあり方を考え直さないといけないのかもしれません。
最良の医療はEBMの実践ではなく、医療技術評価(HTA=health technology assessment)に基づいた医療の提供ではないかとの意見も数多くあります。日本は、医療の提供の意義、価値について考え直すべき分岐点に立っているのではないかと考えます。
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