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いしが城谷クリニック通信~診察室2から~

2012年4月、大阪府茨木市に新しく開院した「いしが城谷クリニック」。 気管支喘息を専門とするドクターTOMOの日常診療やクリニックの歩みをご紹介します。 気軽にお立ち寄りください。 クリニックHPは、http://www.ishiga-iin.com/ です。

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日本の薬価制度の問題点 

前回に述べましたように、1剤の高額薬剤が保険診療の場に登場しただけで、国の公的医療保険制度が崩壊する可能性があることの問題点はどこにあるのでしょうか?

その一つに日本の薬価制度があると考えます。
日本の薬価は原価算定方式と類似薬比較方式の2種類の方式に則って制定されています。
原価算定方式は、薬剤の研究開発費、製造コスト、営業利益などから算定されます。一方、類似薬比較方式は先行類似薬の薬価を参考にして算定されます。

このように薬価を決める方式は存在するのですが、その具体的な議論は公開されておらず、製薬会社と厚労省とのやり取りの結果で決定されます。また、その薬剤に費やされた研究開発費やその他のコストなども非公開です。
そのため、本当にその薬価が適正薬価なのかどうかを客観的に評価する手段がないのです。

また一旦、薬価が決まってしまうとその薬価を下げることは難しいのです。薬価は2年ごとに見直されるのですが市場拡大再算定という制度を利用しても最大25%の下げ幅しか認められておらず、市場実勢評価額とかけ離れてしまうことがあります。
また、薬価決定後に適応疾患が拡大し、市場が大きく拡大してもそれに伴う薬価改定は成されません。
更には、類似薬のない新薬に関しては一定の要件を満たせば薬価は2年ごとの薬価改正でも引き下げられることはなく守られる制度(新薬創出・適応外薬解消等促進加算)が2010年から導入されました。

このように薬価制度は製薬会社にとって有利に働く仕組みが多いといわざるを得ません。
これらの問題点をふまえて厚生労働省は、2年ごとにしかできなかった薬価改定を期中にもできるように制度の見直しが2016年になされました。
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高額新薬の登場 

医療における技術革新が医療財政を圧迫させる恐れがあり、何らかの方策が必要と考えられていましたが、それを加速させるような問題が起こっています。
癌治療に従来の薬剤とは一線を画した治療効果をもたらす免疫療法薬が2014年に保険収載されました。日本の小野薬品が開発した薬剤で、オプジーボという薬剤です。当初の保険適応は、皮膚癌の一種である悪性黒色腫のみでした。悪性黒色腫は比較的稀な疾患で、この癌に用いられることを念頭に薬価が制定されたのです。悪性黒色腫に用いた場合、1日薬価が4万1907円、治療患者数がピークでも年間470人程度であり年総額で31億円の医療費が生じると試算されての結果です。
しかし2015年に肺癌に適応拡大されてから、状況が大きく変わりました。肺癌に使用する場合の必要投与量は黒色腫に投与する場合より多く必要であり、1日の薬価が9万5046円かかるのです。ピーク患者数も1年で5万人と考えられ、1年総額で1兆7500億円もの医療費がかかるとの試算がなされました。肺癌であれば組織型、病期、年齢を問わずに投与できることもあり、この試算が現実味を帯びてきたのは事実です。
肺癌診療を専門とする現場の医師からも、この薬剤の使用に関して、現薬価のまま無制限に保険を用いての投与を続けることが医療保険の崩壊を招くとの意見が出され、何らかの改革が必要と警鐘を鳴らしました。

日本の医療は近年、根拠に基づいた医療(evidence based medicine=EBM)の実践が最良の医療であると考えられてきました。つまり、EBMの実践が唯一無二の目的であり、医療費に言及することは非倫理的であると考えられてきました。しかし、このような現状を踏まえ、今後の医療のあり方を考え直さないといけないのかもしれません。
最良の医療はEBMの実践ではなく、医療技術評価(HTA=health technology assessment)に基づいた医療の提供ではないかとの意見も数多くあります。日本は、医療の提供の意義、価値について考え直すべき分岐点に立っているのではないかと考えます。

category: 医療の未来

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医療経営を取り巻く環境変化にどう対応していくか 

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

本年度は、このブログの場を借りて立命館大学院 MBAで研究してきた医療経済の環境変化や今後について書いていきたいと思っております。
まず今回は、膨張する医療費について書きたいと思います。

近年、日本の医療費は毎年1兆円を超えるペースで増加しており、なかでも、医療費の約6割を占める高齢者医療費の増加が著しく、現在の仕組みのままでは現役世代が高齢者医療を支えるという構造の限界が見えはじめています。
2016年には団塊の世代が65歳以上に移行するなど超高齢社会を迎え、高齢者医療費の割合が医療費全体の64%にまで拡大しました。
この高齢者医療費を支える仕組みは、現状では、高齢者自身の保険料と税金、そして現役世代からの支援です。現役世代は保険料の45%を高齢者医療へ拠出しており、高齢者医療費の増加とともに負担を増し、現役世代の保険料の引き上げという形で賄わざるを得ないのです。
増大する高齢者の医療費を現役世代で支えるには限界に達しており、このままではあたりまえと思っていた「国民皆保険制度」の崩壊にもつながりかねないのです。現役世代の過重な負担を軽減する高齢者医療制度の改革が必要不可欠と考えます。

まずはこのような現状をしっかりと把握したうえで議論を進めていきたいと思います。

category: 医療の未来

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